それは危険なラブミッション

全身布で覆われた私は完全に不利。
かといってルイのように脱ぐわけにもいかない。

プールに落とされた弾みで脱げた片方のミュールのそばへ、まだ私の足に残っていたもう一方をポーンと投げる。

泳ぎは得意な方じゃない。
水を抱えた洋服ごと、歩いてルイを追いかける。
けれど、10メートルほどのプールだというのに、なかなか追いつかない。

モタモタしているうちに、ふとルイの姿が見えなくなってしまった。


……どこ?


静まり返ったプールに、さっきまでいびつな形をしていた月が綺麗な半円を描いていた。


ルイ……?


そして、後ろを振り返ったときだった。
突然、水面深くから飛び上ってきたルイに驚いて身体が硬直する。


「――っ、ビックリさせないで」


満足気に笑うルイ。

< 242 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop