それは危険なラブミッション
「だから、妬いてないってば」
軽く突き出した拳がルイに捕獲された。
「心配するな。莉夏のことを邪魔だと思うわけがない」
「――っ」
真顔でそんなことを言われたら完敗だ。
「気が変わった」
ルイはそう言うと、運転席との間仕切りをノックした。
「西、行き先を俺のマンションに変更してほしい」
「かしこまりました」
西さんがそう答えると、車は片側二車線の道路でゆったりと方向転換。
軽く振られた身体をルイが支えてくれた。
「莉夏をこのまま帰すのが惜しくなった」
「……え?」
「明日の朝、店に直接送るから心配するな」
明日の朝って――……。
それはつまり……。
そこから連想される状況を勝手に妄想して、途端に加速を始める鼓動。
呼吸をすることすら苦しくなって、不自然に深呼吸を繰り返す。
私が吸い尽くしてしまったのか、酸素まで薄く感じる。
それなのに、ルイときたら、余裕綽々で足なんて組んで。
私一人が無様にテンパっていることに気付いたのか、ニヤリと嫌な笑みを浮かべたのだった。