それは危険なラブミッション

②Uターンしてきた策略



「はい、これ、お土産」


6日ぶりの木漏れ日は、夕食をとるお客で賑わっていた。

いつものカウンター席に腰を落ち着けると、バリ島で買ってきたガムランボールを裸のまま夕菜とマスターへ手渡す。
チャリンと乾いた音色が響いた。


「ありがとう。って、どうしてマスターとお揃いなのよ」

「あれ? そうだった?」


わざとそうしたのだけれど、敢えてとぼける。


「俺とお揃いじゃ嫌なのか?」

「嫌よ」


ハッキリ言ってしまう夕菜もすごいと思う。
といっても、そこに悪意は全くなくて、単にマスターをからかっているだけなのだけれど。
マスターにはそれが通じていないらしく、夕菜の言葉にシュンとしてしまった。
かなりのダメージみたいだ。

隠れてクスクス笑っている私も、相当性格が悪いかもしれない。

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