遥か~新選組桜華伝~


「土方さんの変態!
勝手に遊郭でも何処でも行ってください!」


「そういう意味で言ってんじゃねよ」


言いながら、土方さんは私の右手首を掴む。


そして私の着物に視線を落とすと


「けど…おまえに綺麗な恰好させるってのは悪くねえな」


不敵な笑みを浮かべた。


「化けると思うぜ?
島原の花魁に負けない美女に……」


「意味が…わかりません」


怒り口調で言って、そっぽを向く。


「怒んなよ。
今度いい着物買ってやるからさ」


土方さんは私の髪をぐしゃぐしゃと撫でると……


「ま…着せても、俺がすぐ脱がすだろうけど」


低い声で囁いて、歩いて行ってしまう。


「何よ……」


結局ただの変態じゃん。


< 162 / 276 >

この作品をシェア

pagetop