遥か~新選組桜華伝~


「おい…!」


後ろから大きな手に抱き寄せられた。


顔を上げると…


「わわっ!」


土方歳三…!


条件反射で肩がビクッとなる。


怯える私を見て、土方歳三は顔をしかめた。


「…なんだよ。
せっかく助けてやったっていうのに」


不満そうな声が耳元に響く。


「ごめんなさい…!」


びくびくしながら頭を下げる。


「別に怒ってねえよ」


と言われても…。


信じられないよ…!

鬼のように怖い顔してるんだもん!


「は、はい…すみません」


答えると「はぁ…」とため息をつかれてしまった。


もしかして怒らせちゃった…!?


「だからそうじゃなくて…」


言いながら、土方歳三は拳を軽く振り上げる。


「ふぇっ?」


やっぱり怒ってる!


な…殴られる!


思わず目を瞑ると、コツンとおでこに軽く当たった。


痛く…ない?



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