遥か~新選組桜華伝~


今回はこの程度で済んでいるけど…。


深い傷だったらすぐ処置しないと取り返しのつかないことになる…。


「もっと早く手当てできる方法はないのかな…」


ポツリと呟くと、水の入った桶を運んでいた山崎さんが足を止める。


「巡察中の怪我となると…その場で手当てできない。
着いて行くにも、私達には他の隊務もありますからね」


そう言ってやるせなさそうにため息を吐いた。


「山崎さん…」


そうだよね…。


すぐに手当て…なんて言うのは簡単でも実際は難しい。


医療班の方々もそれぞれ仕事がある。


朝夕の巡察全てに同行できる人がいるわけ…


「…っ!」


そうだっ!!


ふとあることを思いつき、

その日の夜、私は副長室に向かったのだった……。


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