忘 恋
六章  再会

翔の幼稚園生活も半年過ぎた時
健吾さんが、警察内で怪我をしたらしく
翔を迎えに行けなくなったから
「行きなさいよ。
先生には、連絡したから」
と、姉から連絡があった。

俺は、秘書の西野に
「今日は、帰宅する」
と、告げて会社を出た。
西野にも、
「今日は、もう上がれ」
と、言ってから‥‥‥‥

遅くなったが、翔の幼稚園に着いた。
「遅くなりまして申し訳ありません。
高野翔をお願いします。」
と、対応してくれた先生に伝えると、
「翔君ですね、わかりました。
少々、お待ち下さい。」
と、言われて待つ。

翔が、先生と話ながらやって来た。
俺は、背を向けていたが
翔が、
「えっ、パパ?」
と、言うから、振り向くと

翔と雫が、手を繋いで、こっちを見ていた。

俺と雫は、みつめあう?‥‥
にらみ会う?‥‥
しばらく、動きが止まって‥‥‥

翔が、雫のエプロンを引っ張ると
「あっ、ごめんね、翔君。
また、明日ね。」

「パパ、心咲ちゃんは?」
「心咲は、けんちゃんが、怪我をしたから
迎えにこれなかった。
さあ、帰るぞ。」
と、言い、振り向き出て行こうと

すると
「翔君のお父さん、あぶないですから
きちんと、手を繋いで帰って下さい。」
と、雫は言った。

「あっ、わかった。」
と、言って、翔の手を引いた。

翔は、びっくりした顔をして
俺と雫を見比べていた。

俺の心臓は、バクバクと
音を立てて騒いでいた。
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