ぎゅってしてもいいですか。
「ふはっ……」
取り残された教室。
あっけに取られすぎて、笑ってしまう。
────変なヤツ。
ほんと、変なやつだ。
けど、そんなアイツが……
俺は、そんな月乃が……
────好きなんだ。
やっと気づいた、ホントの気持ち。
好きなんだ。
……あー、くそ。
今更……こんな……。すげーはずい……。
前髪をくしゃっとつかむ。
体温が上昇したのを感じた。
いつからかな。こんな本気で好きになったの。
これも月乃のへんなオーラのせい(とか言ってみる)。
……けど、それに巻き込まれたのは俺だ。
ほんと、おかしい。
────ううん、違う。……なわけ。
変なヤツだからじゃない。
ちょっとずつ好きになってたんだ。
気づきたかったような、気づきたくなかったような、そんな大事な気持ち。
俺は今まで、気にしないようにしてただけだ。
でも、今日はっきりと言葉にした。
────月乃が好き。