焦れ甘な恋が始まりました
 




「あー、そういえば聞きました?なんか今度、新しい施設を作るって話が出てるみたいですよ。まだ公には発表されてないけど、企画部と社長とで、ずっと構想を練ってたみたいで」



―――お昼休み、小出ちゃんと二人で持ってきたお弁当を食べていれば、唐突に出された話題に思わずドキリと胸が高鳴った。



「そ……、そうなんだ。小出ちゃん、そんなのよく知ってるね?」


「総務部長と営業部長が話してるのを、たまたま聞いちゃったんです。なんでも、新しいコンセプトの施設を作るみたいで……それで最近、いつも以上に社長も忙しいみたいですよ」


「……そうなんだ」



小出ちゃんが言う新しいコンセプトの施設とは、金曜日の夜に社長が話してくれた……女性をターゲットにした身体スパの施設のことだろう。


金曜日に役員全員からの承認を得たって言ってたから、今朝一番にでも各部署の長に社長から御達しでもあったのかな。



「ここのところ、お昼にランチに出掛ける姿も見てなかったって、受付の子たちが言ってたんです。その子たちは社長が倒れたら私たちが看病する〜なんて笑ってたけど、もしそんなことになったら笑い事じゃないですよねー」


「……そう、なんだ」


 
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