焦れ甘な恋が始まりました
 



蘭の奴……出張から帰ってきたら、直接、文句言ってやるんだから。


―――たった今、電話をしていた相手は一つ下の妹の“蘭”だ。


彼女は今、デザイナーとして働いていて昼夜関係ないような、ハードな生活を送っている。


そんな彼女の体調を心配して、姉である私は毎週月曜日、休日に大量に作り置きした料理を持って、仕事帰りに妹の住むマンションへと届けるのが日課になっているのだけれど。


忙しい彼女は時々、直前になってそれを断ってくるのだ。


今だって、三日ほど出張に行くから今日の料理は受け取れないとのこと。


確かに家を数日空けるのなら、マンションの宅配ボックスにナマモノである料理を入れておかれたら、取り出す頃には大惨事になっているに違いない。


 
< 3 / 380 >

この作品をシェア

pagetop