焦れ甘な恋が始まりました
考えれば考えるほど、もう、答えは一つに思えて仕方なかった。
「正直言って、今回の日下部さんの仕事ぶりを見て……俺も、日下部さんは企画に向いているのかもしれないとも思った」
「私が、企画に……」
「今、企画部は女性が一人もいないから。VENUSのことも含めて、これからのことを考えたら日下部さんのような人材が必要だと、俺も思う」
「、」
「もちろん、すぐにとは言わない。もし企画部へ移るとなれば、総務部での引き継ぎもあるだろうし……とにかく、この件に関しては全面的に、日下部さんの意見を尊重したいと企画部長も総務部長も、俺も思ってる」
「……、」
「日下部さん、次第だよ。俺は、日下部さんなら企画部でも十分に力を発揮できると信じてる」
――――先程から繰り返し聞こえる波の音が、やけに寂しく、耳に届いた。
反対に、社長に渡される言葉をどこか他人事のように聞いている自分に気が付いて……
だって私には、あまりにも夢のようで、勿体無い話。
けれどこれは紛れもなく、私の話で……
そんな自分が今、置かれている現実について行けず、なんだか目眩がしてしまった。