焦れ甘な恋が始まりました
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「もー、とにかく私のコントロールの良さ、完璧でしたよね!最初から、日下部さんに向かって投げたんですから。アレでキャッチしてくれなきゃ、流石の私にも手の施しようがないとこでした」
挙式から披露宴を終え、同じ式場内で行われている二次会に参加中。
三度目のお色直しで可愛らしいミニ丈のウエディングドレスに着替えた新婦の小出ちゃんは、まるで空から降りてきた天使のよう。
「あはは。でも、まさかブーケを貰えるだなんて思ってもみなかったから嬉しい。素敵な幸せのお裾分けを頂きました。本当に、ありがとう」
白いバラをベースに淡いピンクのバラを散りばめた、ブリザードフラワーでできたブーケは今、私の荷物の中にある。
ブーケが、私目掛けて一直線に飛んできた時には、何事かと思ったけれど。
「……誰よりも日下部さんに貰ってほしかったんですから、お礼を言うのは私の方です。受け取ってくれて、ありがとうございました。
それと……今まで、本当に、お世話になりました。日下部さんが上司で、私は本当に幸運でした」
「……小出ちゃん、」
披露宴でも、ご両親への手紙以外では一切涙を見せなかった小出ちゃんが、涙混じりの声で唐突にそんなことを言うものだから。
思わず私まで涙腺が緩んで、慌てて瞬きを繰り返すことで精一杯それを誤魔化した。
ああ、もう、嫌だなぁ。
年をとると、涙腺まで弱くなるんだから。