焦れ甘な恋が始まりました
 


会社の地下駐車場を出てから数十分。

宣言通り、ドライブをし始めた社長とは、世間話で盛り上がっていた。


初めは緊張と少しの不信感で構えてしまっていた私も、いつの間にか社長の持つ独特な柔らかな雰囲気に絆されて(ほだされて)しまって。


それでも未だに緊張はしているけれど、初めのそれよりは幾分か……社長がまだ営業部時代の頃のように、リラックスして接することができてきた気がする。



「それにしても社長、今日は立石さんはどうしたんですか?いつも、立石さんが運転する車で出社してるのだとばかり思ってたんですが……」


「ああ、金曜日は立石の送り迎えは無しでお願いしてるんだ。週に一度くらいそういう日がないと俺も息が詰まるし、立石も俺から解放される日は必要でしょ?」


「はぁ、そういうものなんですね……でも確かに、気分転換は必要ですよね。社長の場合は、運転することが気分転換なんですか?」


「まぁね。毎週金曜日は今日みたいにフラーッと車で無駄に遠回りして、一人ドライブしてみたり。その途中で車を停めて、そのまま寝ちゃったりとかもあるかな」


「え!?車の中で寝ちゃうんですか!?」


「たまにね。まぁでも、今日はそんな若気の至りみたいなことしないから、安心して?」


「えっ、」


 
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