青空の魔法
「すごいや、武見…。一度でいいから、こんな成績とってみたいよ」

突き合せた頭がクリッと振り向き、輝く瞳がオレを見る。

「こんな点数なのに、成績落ちたの?」

アミノは不思議そうに首を傾げた。


「ああ、順位が下がった」

前回まではほとんどの教科で校内1位だった席次が、ほとんどの教科で10番台に転落している。

ちっぽけな校内でもそうなんだ。全国レベル、志望校別の順位となると、もっと下げていた。


「大丈夫だよ。ほら、A判定だもん!」

桜色のツヤツヤな爪の先が、志望校欄に並んだアルファベットを指す。

「しかも超難関ばっか…」

肩をすくめてアミノが笑った。


天窓から射す光が、ショートカットの髪の上でキラキラ跳ねる。
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