青空の魔法
『あ、もしもし武見です』

『あらー、どうした? 武見君』

『今スーパーにいるんですが、豚バラ600グラムというのは、ブロック肉と薄切り肉、どちらでしょうか?』

『あ~、薄切りの方! あとキュウリも追加ね』

『はい、了解です』


こんな具合に、わからないことがあれば、オレは即おばさんに電話して確認をとった。

そうしてオレは、預かった鍵で誰もいない網野家に入り、冷蔵庫まで勝手に開けて、買ってきた食材を詰め込むんだ。

それからアミノが帰るまで、庭の水撒き。


アミノんちの庭は外から見るより広く、その一面緑の芝生と奥の植え込みと花壇にホースで水を撒く。

テラスに置かれた小さな鉢植えには、じょうろで一つずつ水をやった。


何だかガキの頃の夏休みを思い出す。

うちはマンションだから庭はないけど、ベランダの小さな菜園の水やりは、その昔オレの仕事だったっけ。
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