青空の魔法
「や、大丈夫。ちゃんとわかってるから。アミノがオレとつきあってんのは、校則の間違いを実証したいだけだってことは」

自分に言い聞かせるためにそう言ったのに、アミノは小さく息をついた。


「ウソだよ、あんなの」

「へっ…?」

「武見って頭いいのに、ほんとバカだな…。17歳の女子がそんなことにマジになるわけないじゃん。校則なんか、勝手に破っとけばいいの」

「えっ、じゃ、なんであんなこと…」

「それは…」

アミノはプイッと横を向く。

それからポツポツと言い訳みたいにつぶやいた。


「武見のこと…、ずっといいなと思ってたんだ…。昔、勉強教えてもらったことがあってね。声の感じとか、目の表情とか、すごく…好きだなぁって思った」

アミノが、オレを?


「やっとあの日待ち伏せして告ろうと思ったのに、なんか……あーなっちゃったんだよな」

アミノは鼻の頭を掻く。


「はぁっ?」

「だって、フラれておしまいなんてヤだったんだ。せめて挨拶とかできる仲になりたかった」


真っ赤な顔をあげ、真っ直ぐにオレを見つめるアミノ。


ヤバい。可愛い…。
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