好きの代わりにサヨナラを《完》
「ほのかも大変だったね」

莉緒もあたしのスキャンダルのこと、知っているみたい。

お寿司が流れるレーンがあるテーブル席に莉緒と向かい合って座ると、莉緒はいつものサバサバした口調でそう言った。



「うん……でも、莉緒に会えてよかったよ。
忙しい時にありがとう」

「あたしもほのかに会いたかったし。
それに……あたしとほのか仲いいじゃん。だから、うちの社長がちょっと様子見てこいって」

いつの間にか、社長案件になっていたらしい。

驚いて熱いお茶を吹き出しそうになったあたしに気づかずに、莉緒はどれを取ろうかと回るお寿司を真剣に見ていた。



社長に言われたからじゃなくて、『ほのかが心配だから来た』って言えばいいのに……

正直に本当のことを言ってしまう莉緒が、あたしは面白かった。
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