好きの代わりにサヨナラを《完》

リングに秘めた想い

リハーサルが夜遅くまで続いて、次の日の朝はなかなか起きられなかった。

それでも、学校の補習には行くと莉緒と約束していた。

あたしは重い体を引きずりながら、高校の制服に着替える。

蒼からもらったウサギのキーホルダーをつけた鞄を持って学校に向かった。



夏休み中の教室にいる生徒は、莉緒と恭平とあたしの三人だけ。

仕事が忙しくて勉強はやる気がない三人だけの教室は、黒板を書き写す音もそんなに聞こえなくていつもより静かだ。



蒸し暑い教室に、窓の隙間から少しだけ風が吹き込む。

あたしは頬杖をついて、ぼんやり窓の外を眺めていた。
< 185 / 204 >

この作品をシェア

pagetop