好きの代わりにサヨナラを《完》
「どうしたの、急に……」

「ほのかに伝えたいことがあって……」

「……何?」

なんでメッセージじゃなくて、電話にしたんだろう。
あたしは少し緊張していた。



「高校合格した……第一志望のN高」

「そっか……」

現実離れした生活を送っていたあたしは、合格発表の時期だということをすっかり忘れていた。

N高は、もともとあたしの志望校でもあった。

アイドルにならなければ、あたしは蒼と一緒に高校に通っていたのかもしれない。

あたしはちょっとだけ複雑な気持ちになってしまった。



「おめでとう!」

明るく言ったあたしに、蒼は低く「ありがとう」とつぶやいた。
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