六周年記念小説
テストも終わり、
教師達も一段落した。

私は一旦帰り
着替えて近くのファミレスに向かった。

テストが始まってから毎日来ていた。

泰佑と勇人がいない
家は少し寂しいから
テスト期間中だけ
此処に来ることにしたんだ。

三人が引っ越して来る前は
何時も一人だったから
平気だったのに
いつの間にか寂しいと
思うようになっていた(苦笑)

**一時間後**

ファミレスを出て
近くの雑貨屋と
スーパーに寄っていたら
夕方になっていた。

今日は何を作ろうかな♪

********************************

オリオン荘に帰る途中、
誰かが付いてきているのを感じた。

佩川先生かも知れない……

私は遠回りし、
公園の木の陰に隠れた。

テストが終わり、
先生達も早く帰れるらしく
夕方頃には学校を出れると
泰佑が言っていた……

幸い、腐るような材料はない。

佩川先生は私を
見失ったからか
辺りを見回している。

何時までも此処に
いるわけにもいかないから
泰佑に電話を掛けた。

《梓、何かありました?》

泰佑がすぐに電話に
出てくれてよかった。

《実はね……》

買い物帰りに
佩川先生につけられて
オリオン荘の近くの公園にいることを話した。

《佩川先生はまだ居ますか?》

《うん》

最近、仲がいいから
私をつけて来たのだろう。

《わかりました、迎えに行きます》

《バレちゃうよ?》

私はいい。

最悪、実家に帰ればいいんだから。

だけど、泰佑と勇人は?

《構いませんよ
オリオン荘で
私達が一緒に
住んでいることさえバレなければ》

《わかった…… 待ってるね》

********************************

**数十分後**

「荷内先生!?」

泰佑が来るとは
予想していなかっただろう。

「こんなところで
どうされたんですか?」

泰佑に訊かれて
目が泳いだ。

「に、荷内先生こそ……」

明らかに動揺している。

「家に帰るのに
この公園を通ると近道なんですよ」

オリオン荘に帰るには
この公園を
突っ切った方が早いのは確かだ。

「今日は恋人と
待ち合わせなんですけどね」

ぶっ(笑)

泰佑、その設定は…… ぁははは

そして、暗に
邪魔だから帰れと言っている。

だが、佩川先生は
意味を理解していないようだ。

教師のくせに
理解力がないなぁ。

一瞬、泰佑と目が合った。

裏の出口から帰れということらしい。

私はオリオン荘まで走った。

********************************

「ただいま」

二十分後、泰佑が帰って来た。

『おかえり』

あの後、どうなったんだろうか?

気になる……

『泰佑、大丈夫だった?』

夕飯を作りながら気が気じゃなかった。

「ええ、知り合いに
電話して来てもらいましたから」

『どんな人?』

少し気になった。

「一言で言えば
大学時代の元カノです」

元カノ!?

見てみたかったかも(笑)

『別れたのに仲がいいんだね』

「今ではよき友人ですよ」

険悪な別れかたではなかったんだろう。

『名前を聞いてもいい?』

「勿論ですよ」

よかった。

「姫氏原緋依といいます」

ついでに写メも見せてくれた。

綺麗な人(๑º△º๑)

泰佑の話によると
姫氏原さんが来た途端
佩川先生は慌てて帰って行ったらしい。

あんだけ綺麗な人が
目の前に現れたら
そりゃねぇ(苦笑)

『私と勇人と
住んでるって
バレなくてよかったね』

そもそも、オリオン荘が
ルームシェアだということは
あまり知られていない。

「本当にそう思います」

手伝いますよと言って
泰佑がキッッチンに来る。

『気が向いたら
姫氏原さんとの
馴れ初め教えてね』

何時か、三人が
教師になったきっかけも
聞いてみたいな。

「いいですよ」

二人でキッッチンに立ち
今日も料理をする。

『ありがとう』

料理ができあがる頃
勇人が帰って来た。

それぞれ、今日あったことを
話ながら三人で夕飯を食べる。

こうして今日も一日が
過ぎていった。
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