Soul Lovers~世界で一番愛する人へ~
「やったー!」
「ついに来たな、富士山頂」
2人で、両手を空に挙げて万歳する。
「この空気。この景色。最高!」
「だろ?」
まだまだ元気な梨央とは反対に、俺はそのまま大地に寝ころんだ。
「死ぬ」
酸欠でふらふらの俺の肩を抱き上げて、バックの中から酸素スプレーを出した梨央が、俺の口に当てる。
「バカね。無理しちゃって」
梨央が、心配したように眉を寄せる。
やべっ、俺、
「本気で梨央が好きだ!!」
富士山頂での、一世一代の大告白は、
「10年早い」
あっさりと砕け散った。
「10年待てば、俺の嫁になるのか?」
俺の言葉に、梨央は弾けたように笑った。
「正真正銘のバカね」
最高の女神は、力いっぱい俺の背中を叩いた。
―end―