Soul Lovers~世界で一番愛する人へ~
「それにしてもマッシーさんに妹がいるなんて知りませんでした」
2杯目のビールを飲みながら言うと、
「お?なんだ?雛子のこと気に入ったか?」
厳つい顔が、力が抜けてふにゃりとだらしない表情になる。
「いや、そうじゃないですけど。……似てませんね」
「だろう?あいつは俺と違って純粋培養だからな。好きになるなよ」
言葉の前半はとろけるような甘い顔で。後半は鬼のような形相でギロリと俺を睨んだ
「雛子に手ーだしたら、たとえ七倉でもぶっ飛ばす。覚悟しろよ!!」
陽気な空気から一変。どす黒い空気をまとうマッシーさん。
「出しませんって」
そう答えて、グラスに残ったビールを飲み干した。
背中で揺れる黒髪と、意志の強そうな大きな目が胸によみがえる。
「好きになんてなりませんから」
もう一度、自分自身に言い聞かせるように呟いた。