僕は介護職になりました。
 すっかり介護の仕事をやる気になっていた僕は、何社か面接を受けました。お金の話ししかしない会社や、夜勤専門でやってほしいなど、様々な会社へ面接を受けにいきましたが、何処もしっくりきません。

 そんな中、彼女が職場の同僚の旦那さんがディサービスで生活相談員というものをしているらしいからその繋がりでディサービス紹介できるらしいよ!という話しを持ってきてくれた。

 早速お願いして見学&面接を受ける事に。

 そこは特別養護老人ホームとショートスティ、ディサービスが併設する複合施設で運営は社会福祉法人(非営利)でした。入り口はホテルのような造りになっており、受付の方もとても丁寧で心地よい気持ちになりました。

 程なくすると男性3名が現れ、とても丁寧な挨拶をしてくれました。その中でも長身で端整な顔立ちをした関西弁の男性は、まるでホストのよう。そして、この方がディサービス管理者の中竹さんでした。

 中竹さんに案内され、ディサービスの入り口にくると、女性の受付の方がおり、「見学の方が
入られます。」とインカム(無線機)で伝えているようだ。過去にパチンコ店で働いた事のある僕は、インカムを何度も使った事がある。しかし、介護の現場でも使われている事に驚いた。

 受付の女性がスイッチを押すと、自動ドアが開き中へ入る。中竹さんが教えてくれたが、中から自動ドアをあける事は出来ず、受付からスイッチを押さないと開かない仕組みになっているんだそう。何故かというと、認知症のお年寄りの中には、わけがわからず外に勝手に出ていってしまう方や、家に帰ろうと勝手に出ていってしまうケースがあり、それを防止する為だそう。

 正直、なんか息苦しそうだなと思った。しかし、中へ入るとそのイメージは変わった。とても大きなフロアーで、明るく広々としたスペースでくつろぐ高齢者の方達。

 中庭があって、そこでタバコを吸っている高齢者の方もいました。すれ違うスタッフは皆笑顔で挨拶をしてくれ、スタッフの人数も10人程いました。お風呂の中も案内してもらうと、中は街の銭湯に負けず劣らずの広さ。洗い場も沢山あり、大浴場はスロープになっており段差なく入れるようになっていた。

 中竹さんは「高齢者の方は段差に恐怖を感じたり、昇り降りが難しい方がいます。そんな方々が安心して入れるお風呂なんです。転倒して骨を折り、一生歩けなくなるケースが多いんです。」と教えてくれた。

 機械浴と呼ばれるお風呂は、専用の車イスに座ってもらい、その機械の中へ車イスごと入りドアを閉めると、下からお湯が上がってくる仕組みだそう。身体の安全面から3分以上は浸からないよ配慮をしているんだとか。

 見たことのないものを沢山みせてもらい、とても感じか良いディサービスであった為、ここで働かせてもらおうと、すぐに思った。しかし、正社員としてはいきなり採用はしていないとの事。僕はアルバイトからでよかった。

 
 そして無事採用。2010年11月に僕は介護職になりました。
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