オフィスにラブは落ちてねぇ!!
「簡単に忘れる事はできないかも知れないけど…これからは何があっても、俺が愛美を守るから。」

愛美は緒川支部長の胸に顔をうずめた。

「私の事、嫌いにならないで…。」

「嫌いになんかならないよ。」

「ホントに…?」

胸に顔をうずめて、小さな声でためらいがちに尋ねる愛美の髪を、緒川支部長は愛しそうに撫でた。

「ホント。俺は愛美が好き。大好きだよ。」

愛美は緒川支部長の背中に腕を回して、ギュッと抱きしめた。

その広い胸の温かさと優しさに泣きたくなるほど、この人が好きだと愛美は思う。

「私も…政弘さんが好きです…。大好きです…。」

恥ずかしそうに呟いた愛美の言葉に、緒川支部長は一瞬目を見開き、それから愛美を抱きしめて嬉しそうに笑った。

「めちゃくちゃ嬉しい…。」

緒川支部長は愛美の頬を両手で包んで上を向かせ、覗き込むようにして顔を見つめた。

「やっと名前呼んで、好きって言ってくれた。」

「あの…あんまりじっと見られると、恥ずかしいです…。」

恥ずかしそうに目をそらす愛美を見て、緒川支部長は微笑みながらそっと頬を撫でた。

「愛美、赤くなってる。かわいい。」

赤くなった頬にキスを落とす緒川支部長の柔らかい唇の感触がくすぐったくて、愛美は少し首をすくめて笑った。

「マジで嬉しい…。やっとまた笑ってくれるようになった。」

「…また?」

愛美が首をかしげる。

「俺は愛美が入社する前に、2度愛美と会ってるんだよ。」

「えっ?!」

思いもよらぬ一言に愛美は目を丸くした。

「聞きたい?」

「聞きたいです!」

「じゃあ…もう一杯、コーヒー淹れてくれる?」

「ふふ…そうしましょうか。」


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