sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜




「フンッ、そんなことが本当に罷り通るとでも思ってるのか。決めたのは会長だ、俺じゃない。だか、社長にはこの件について一切話はしていない。現に、向こうは向こうで別のビジネスを始めている。そのうち一ノ瀬を独立するだろう。最早関係ないからな。」



「独立!?会長の一人息子で一ノ瀬グループの社長なのよ!そんなことあるわけないでしょ!それに関係ないって…貴方のお父様でしょ?関係ないことなんて……」



甲高い声に目を細めると、古賀が美山の肩に手を乗せる。



「まあ〜そうだね。でも、社長は今、個人的に何人か出来る社員を引き抜いて新しいビジネスを始めてるのは本当。会長も本来の業務無視して勝手な行動する社長には相当呆れてるみたい。で、司を社長にしようっ!って活動が行われてるわけ。まあ、このプロジェクトもその一環ってこと。知らなかった〜?麗香さん?」



ニコリと微笑む古賀の手を握りつぶすかのように美山は掴み払う。



「司を社長にって話は何となく聞いてる。知らされずにホイホイ仕事するバカじゃないわ。でも今はそういう話がしたいわけじゃない。どうして社長に…お父様に言わないの?いつまでそうやって壁作るの!?」



珍しく、息を切らし言う美山。

いつもサバサバしてて何でもそつなくこなす彼女を見ている社員たちは大きな声を出す美山を見て仕事の手を止める。


ビビらしてどうする。

古賀も固まったまま動かない。


ったく、昔からこの女の扱いには困る。



「麗香……」



「梢ちゃんとは……偽装結婚の仲だから?だからわざわざ実の父には言わなくていいって?」




小さく呟いた名前は彼女の声に掻き消された。




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