sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
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明くる日、私は別の会社の面接に来ていた。
「では、1073番の方から順番にどうぞ」
広く殺風景の部屋には数人の面接官。
3人ずつ部屋に入り椅子に腰を掛けた。
隣の女性はハキハキと自己PR、志望動機など言葉を連ねていく。
まるで、ロボットが台本でもそのまま読んでいるよう。
「では、1074番の方どうぞ」
私は膝の上の手をギュッと握りしめた。
自己PR、志望動機、今まで散々考えて40社以上受けて平気でハキハキ喋れていたはずなのに。
何も出てこない、浮かばない。
頭の中のデータが全て消えたかのように空っぽだ。
私って何がしたいんだろ。
田舎の工場で働く父を見て、こんな小さい世界で止まるのは嫌だ、なんて思った私はとりあえず、大学に入学した。
キラキラ輝く世界でバリバリ働いて、いつか素敵な人に出逢って結婚して。
志望動機なんて、何もない。
私はきっとこの会社に入っても何の役に立たない。
バカだなぁ、私。
とりあえず、良いとこ就職して……なんて考えしてるから
今まで内定ゼロなんだよ……っ。