sweet♡marriage〜俺様御曹司と偽装婚約〜
「1074番、安藤さん?」
面接官が不審そうに私を見つめる。
私は拳をギュッと握って、椅子から立ち上がる。
「………すみません、失礼します。」
私は正真正銘のバカだ。
引き止める面接官をも無視して、私はそのまま会社を後にした。
「最悪だ……私。」
また面接すっぽかしちゃった。
あんな風に面接官を前に出て行くやつなんて私ぐらい。
だけど、やっと気づけたことがあって…よかったと思う。
夕日が沈みそうな空を見上げ立ち止まる。
「……ここ、あの人に助けてもらった……」
気づけばこの前お爺さんを助けた横断歩道まで来ていた。
お爺さんを助けて…というか助けきれず、最後はあの男性に全部助けてもらったって感じだけど。
私って先陣切って助けに動くくせに、結局はお荷物になるタイプ。
『大丈夫ですか。』
あの瞬間は担がれて顔は見えなかったけど心地良い声だったな。
案の定、容姿端麗で……王子様みたいだった。
住む世界が違うみたいだし、もう会うことはないだろうけど。