恋 文 日 和



「日和!」

背中から届いた声に足を止めて振り返ると
たった今散ったばかりの桜の花びらが目の前を通り過ぎた。



そして走り寄るその姿を見てあたしは笑顔をこぼす。

「玲、おはよ!」



麗らかな春の日差し。

柔らかい、春の風。

ピンク色した桜並木が続く校舎までの坂道。

それら全てが、あたしを祝福してくれてるような、そんな気さえしてしまう。




「日和、何か今日可愛くなぁい?」

「えっ!?そ、そう?」


鋭い玲の問い掛けに、不自然に視線を逸らし歩みを進めると

「恋する女は綺麗になるってのはこうゆう事か。」

そんな言葉があたしを追い掛けてきた。



「神楽の為、でしょ?」

「ちょっ!玲っ!」

あたしは慌てて玲の口を押さえて辺りを見渡す。



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