恋 文 日 和


登校する生徒達の波は止まる事なく進み、あたしはほっと胸を撫で降ろした。



“神楽”

その名前は簡単にあたしの心を掻き乱す。



「玲、声大きいよっ!」


誰にも聞かれてなかった事を確認して真っ赤になった顔で玲に告げると

「大丈夫だって!いいじゃん、聞かれても。」

「よくないーっ!」

「はいはい。」

さらりと軽くあしらわれた。




あたし
菊井 日和(キクイ ヒヨリ)

昨日、高校2年生になったばかり。

ママが春が一番好きで“小春日和”から付けられた名前。

自分でも気に入ってる。



「ほら、日和早く!神楽が待ってるよー。」

「もぉ、玲っ!」

ちなみに彼女はあたしの親友で
瀬宮 玲(セミヤ レイ)


あたしとは正反対で
付き合った男の人は数知れず。


……本当、正反対だ。



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