ジー・フール

早朝5時。
僕たちパイロット5人は戦闘機に乗って、籠陽爛基地に向かうことになったが、従業員をはじめ新堂は鵜嵬基地に残ることになった。
修復と改善。
その指示を上から受け、進めていく使命の新堂が基地を離れるわけにもいかない。
いつも僕らは死と隣り合わせなのだ。
危ないからと言って、自分の役割を放り投げることなどできない。
したところで、生きていけない。

「寂しくなるな」
そんなことを倉田がぼやいた。

「楽しみにしてたんじゃないの?」
僕はからかってみた。

「まぁな」
倉田は僕の方を振り向き、歯を見せた。

「もう行くよー」
食堂の入り口から菊永が言った。

僕たちは黙って椅子から立ち上がり、コップをおばちゃんに返して菊永の方へ歩いていった。

朝は寒い。
隙間から風が入り込んでくる。
僕は小走りで滑走路を出ていった。

途中あまりにも寒くて、倉田は叫んだ。
言葉とは言えない轟音を、冷えきった外の空気に調和させようとしていたが、静かなこの空には耳障りなだけだった。
でも何だかわかる気がする。
叫びたくなる気持ち。
僕はいつだって胸の奥で唸り続けているのだから。

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