14年目の永遠の誓い

病院のバックヤードに入り、院長室へ続く廊下を歩く。
小さい頃は、ハルとよく遊びに来て、おやつをもらったりジュースを飲ませてもらったりした。

懐かしいと思いながら、ドアをノックする。



「叶太です」

「どうぞ」



ドアを開けると、久々の院長室。
大きな執務机から、じいちゃんが立ち上がるところだった。



「カナくん、悪いね、呼びつけて」

「いえ、大丈夫です」

「なんで急に敬語?」

「え? ハルの婿だし?」

「堅苦しいのはやめよう。陽菜の婿以前に、君はもう孫同然だ」

「え? ありがとう、じいちゃん」



いつもの軽い口調で返すと、じいちゃんは



「そうそう、それが良いんだ」



と楽しげに笑った。



「何か飲むかい?」

「何がある?」

「コーヒーならサーバーがあるし、冷たいのも色々あるよ。そこの冷蔵庫を開けてごらん」



昔もよく、冷蔵庫から飲み物をもらった。

調度のほとんどに変わりはなかったけど、冷蔵庫は最新のものに入れ替わっていた。



最後にこの部屋に来てから何年経った?



何となく中学に入った辺りから、来なくなった気がする。



「……じいちゃんも飲むんだ、栄養ドリンク」



冷蔵庫の中に見慣れた銘柄を見つけて、お義母さんみたいだと思ったら、



「それは響子さんのストック」



とのこと。

あっちにもこっちにも……と思わず笑いながら、無糖コーヒーを取りソファに座る。



「君くらいの年の男の子にしては珍しいくらい、カナくんはヘルシー嗜好だよね」

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