14年目の永遠の誓い

「覚悟しろなんて言わないよ。覚悟なんて必要ない。……けど、陽菜を支えてやって欲しい」

「言われなくても!」



言われなくても、ハルに寄り添うし、

言われなくても、覚悟なんてものができるはずはない。



ようやく結婚にまでこぎつけた。

オレはハルとの未来を夢見て結婚したんだ。



それが、新婚生活わずか10日やそこらで終わるなんて、

そんな覚悟なんて、できるわけないだろ!?



「うん。そうだよね。……陽菜を頼むよ。あの子は、カナくんにだけは弱みを見せるから」



確かに……確かにハルは、家族の誰にも弱音も吐かなきゃ、愚痴も言わない。

けど、オレだって、こんな長い付き合いなのにハルの愚痴なんて聞いたことはない。

体調が悪くても会ってはもらえる。そういう意味での弱った姿は見せてくれるけど、心の方の弱みなんてものは、見せてもらったことはない気がする。



……だけど、最近、以前よりもオレの前で色んな顔を見せるハルがいる。



「じいちゃん、ハルは多分、じいちゃんが思ってるより、オレとは遠いところに1人で立ってる。

だから、ハルはオレにも弱音なんて吐かないよ」



オレはギュッと拳を握りしめた。



「けど、オレ、いつまでもこのままでいるつもりはないから。

ハルがちょっと寄り掛かってみようかなって思うくらい、ハルの近くに寄り添ってみせるから」



じいちゃんは小さく頷いた。

じいちゃんの目が少し赤くなっている気がした。



   ☆   ☆   ☆

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