14年目の永遠の誓い
去年の冬に受けた手術で一時期、調子の悪さも多少は改善した。
けど、過去手術を受けた後に比べると、開胸手術までした割には、あまり改善が見えない気がする。
相変わらず、よく出る不整脈。
きっと、どこかにまた不具合が出ている。
このまま行くと、二年連続で手術を勧められそうな気すらする。
わたしの心臓は手術とトコトン相性が悪い。
毎回、開胸手術の度に冗談抜きで死にかけている。
手術は成功なのに、術後の合併症に苦しめられる。
今度こそ、次の手術では、もう戻って来られないのではないかと、
誰にも言わないけど、
……だけど、そんな思いが頭をよぎる。
心が完全に晴れ上がっているとは、とても言えなかった。
トントン。
ノックの音に我にかえる。
「はい」
返事をすると、ドアがそっと開けられた。
「お嬢さま、起きられてたんですね」
沙代さんが、にっこり笑いながら部屋に入ってきた。
「沙代さん、おはよう」
「おはようございます」
沙代さんは窓際にいたわたしの元に歩み寄ると、そっとわたしの頰に右手を添えた。
「調子はいかがですか?」
「うん。大丈夫」
元気とは言えない。
けど、大丈夫なんだ。いつも通りだもの。
そんなわたしの思いは丸見えみたいで、沙代さんは心配そうに表情を曇らせた。
けど、なにも言わずに、笑顔を見せてくれる。