危険な愛を抱きしめて
 
 ボンっとアタマに浮かんだ由香里の顔に、風ノ塚のにやにや笑いが重なった。

「篠原さんは、そろそろアルバイトの時間が終わるでしょう?
 いいですよ~~?
 服を着替えたら、店のテーブルとイスをお貸ししますから~~。
 そうそう。
 店にあるお茶もセルフサービスでしたら、なんでもどうぞ~~
 二人で、お茶して帰ったら、いかがですか?」

「ななな……なんで、オレが、由香里と茶なんか……」

「おや?
 違うんですかぁ~~?」

「……違いませんよっ!」

 ……なんだってこいつは、こう。

 自分のことはさておいて、こう、鋭いんだっ!

 風ノ塚のにやにや笑いに、ため息で応えて。

 オレは、こいつと勝負するのだけは止めておこうと、ココロに決めた。







< 132 / 368 >

この作品をシェア

pagetop