危険な愛を抱きしめて
「それは良かったです~~
 では、これから村崎君は。
 心おきなく、高校生の生活が楽しめるんですねぇ~~」

 良かった、良かった、と。

 まるで自分のことのように喜ぶ風ノ塚に。

 オレは、ちょっと苦く笑ってみせた。

「……いや。
 ガッコは、結局ヤメたんだ」

「……え?」

「もともと。
 ガッコへ行って勉強する意味なんざ、なかったし。
 出席日数の関係で、ダブるのもウザかったからな。
 ここはガッコをすっぱりやめて。
 高等学校卒業程度認定試験ってヤツを受けた」

「ええっと~~
 高等学校卒業程度……?」

 風ノ塚は、ピンとこないようでクビを振ってる。

 オレは、ちょっと肩をすくめて説明した。

「おお。
 ムカシは大検って言ってたかな?
 受かれば、高卒の資格をもらえて、大学とかいけるヤツ。
 もちろん、一発合格したぜ?
 簡単だったからな」

「じゃあ、村崎君は。
 来年から、大学生ですかね~~?」

「いや。
 ……今度は、年齢の関係で。
 18になるまで、大学には入れねぇから。
 一年間は、丸々ヒマなんだ。
 どの大学を受けても、まあ、入れる自信はあるから、受験勉強もない。
 これから、このケーキ屋には。
 前よりも頻繁に来るかもしれねぇけど……
 ……いいか?」

 たぶん。風ノ塚のことだから。

 いきなりダメとは言わないだろうが。

 少し上目遣いになってしまった気もするオレに。

 風ノ塚は、ふっと、ほほ笑んだ。
 
 




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