危険な愛を抱きしめて
「て、てめぇ!
 女の影に隠れやがって!
 男だったら、てめぇの方が、かかって来い!」

 ここでようやく、男たちがオレの存在に気がついた。

 由香里の圧倒的な強さに舌を巻いた男が、ヤケクソのように怒鳴った。

 どうやら、オレの方がまだマシだと思ったらしい。

 挑発にかかる男に、オレは手を振った。

「いや。
 オレは止めておく。
 喧嘩なんて合わない。
 シャレになんねぇよ」

「雪はダメよ!
 戦うなら、あたしが……!」

 オレと男の間に、由香里が割って入ろうとするのを見て、ヤクザはニヤリと笑った。

「……なんだ、てめぇは、弱ェえのか!?」

 言いながら、男は、大きな拳を固めて、オレに殴りかかる。

「雪!
 ダメーーー!」


 とりあえず、オレは。

 ギリギリの中でも、聞いていることは、聞いていた。

 由香里の悲鳴が、薄汚れた路地裏一杯に響くのを。



 
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