危険な愛を抱きしめて
 言葉に詰まったオレに。

 薫が、ニヤリ、と笑った。

「……音雪の負けだな。
 さっきのマヌケな不意打ち写真を、ずーっと残されたくなかったら。
 諦めてちゃんと由香里と一緒に写真に写ってやれ。
 俺が撮ってやるから」

「ありがとう!
 ん、で。次は、兄貴ね?」

「……何で俺まで」

「こんな機会じゃないと、雪とのツーショットなんて、撮れないでしょ?」

 よりにもよって、一番マズいカッコの時に、写真撮影か?

 と、げっそり肩を落とす、薫に。

 由香里は、にっこり笑って言った。

「あら。
 兄貴は、一生懸命働いたあとなんだから。
 ちょっとぐらい汚れていても、カッコいいわよ?
 ね? 雪?」

「……」

 なんとも言えない顔をして黙る薫に、オレも吹き出した。

「薫も負けたか?
 ……相手が悪い、今回は、諦めようぜ?」

「……やれやれ」

 薫がため息をついて、病院の中でも、まだ写真写りのマシそうな場所をうろうろ探し始めた。

 それを横目で見ながら。

 オレはふと、気まぐれに自分の携帯を取り出した。
 
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