そら




私は歌った。


彼女に見せる、初めてのピアノ弾き語り。


泣きたくなる気持ちを堪えて、私は歌った。


歌のとっても上手な彼女の前で歌うなんて
少し恥ずかしかったけど、


夢中になって歌った。


これは恋にも似た切ない気持ち。


私の気持ちは、この歌にそっくりよ。


もう終わってしまう?


そんなの嫌だよ。


もっとずっと、仲良しでいたいんだ。


そんな私の声にならない叫びを、
歌に託したの。


弾き終った時、私は彼女の涙を見た。






ねえ。


あなたは何を思った?


不安で、不安で。


私には見ることが出来なかったの。


あなたはあの時、
どんな気持ちだった?


私を思って、流してくれた涙ですか?


分からなかったけれど、
私はその涙に救われました。




「茜ちゃんにプレゼント!みんなで作ったの」


いつもの仲良し組4人が集まる音楽室で、
私はみんなの優しさを改めて実感した。


この子たちは、私の不安を知っていたの。


私が書いた手紙を、受け止めてくれていたの。


だからこんなにも、あったかいんだね。

1人1人からの、
温かいメッセージと、頑張れの文字。


そうして音璃亜が描いた、
私の似顔絵と物語に出てくるキャラクターたち。


自分の書いたものが絵に変わっていく。


それがどれだけ嬉しくて、新鮮なのか。



「卒業したって、みんなでまた集まろうよ」



その一言が、嬉しかった。


私はずっと、その一言が欲しかった。


もう、大丈夫。


不安は全部、消えちゃった。


私が自分の夢に向けて一歩を踏み出せたのは、
その一言があったから。

最後の最後で、
私の高校生活はカラフルに染まった。






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