そら
「そら」





新しくスタートを切った大学生活は
色んな出来事の連続だった。


くじけそうになった時には、
幾度となくあの日貰ったプレゼントを眺めた。


時折の帰省では必ずみんなが時間を作ってくれて、
私を待ってくれていた。



帰る場所がある。


そう思えることは何よりの励みになったの。


だけど、絵の道に進み始めた音璃亜は、
他の2人とは違ってなかなか会えなかった。


課題の毎日に追われて常に忙しそうな彼女が、
私は少し心配だった。



体は大丈夫かな?

元気にやってるかな?


無茶はしてないかな?


そうして、
彼女の抱えていた不安も、私は知った。





“みんなは私を、
 変わらずに好きでいてくれてるのかな?”




そんな彼女の不安を、痛いくらい感じた。


何か出来ないかな?


だけど離れている私に何が出来る?


・・・何も出来ない。


距離があることがこんなにも
悔しい気持ちでいっぱいになるなんて忘れていた。


帰った時に励まされるのはいつも私の方。


そんなもどかしさに、私は悩んだ。


私も、みんなを支えたい。


私の力は、誰かの支えになれないのかな?


そう思う日が続いた。





そんな時、
私を今までの人生で最大の悲劇が襲った。


きっとこれはこの先ずっと、癒えない傷。


一生背負って生きていかなければならないほどの、
そんな大きな傷だった。



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