私は先輩の浮気相手。
なつみはそのまま喋らなかった。
あたしは走るのをやめず、ただ走り続けた。
長い沈黙の後、
あたしは静かに笑みを作る。
「でも、好きな人と付き合えるのは、決して悪いことじゃないでしょ?」
「かすみちゃん…」
「あたしはそれでいいんだ。
先輩はあたしを助けてくれたんだから」
親が今仲良くなれているのも、先輩のおかげなんだし。
「じゃあ…かすみちゃんは、自分の友達が、大好きな人の1番になってて、
ずるいとか思わへんの?」
「さっきから誰のこと?」
「…唯ちゃんや」
その名前だけは、ずっと否定していたかった。
あたしの期待は淡く叶わなかった―。