私は先輩の浮気相手。
「先輩…やっぱり唯が好きなんですか?」
その言葉に、先輩はビクッとした。
「…嘘って言っても」
少しだけ笑った先輩の瞳は、悲しげだった。
「バレちゃうんだよね?」
「……勿論ですよ」
「折角だし…ちゃんと言うよ」
あたしを見たときの先輩、もう覚悟を決めたみたいで―。
「俺、唯がずっと好きなんだ。
本当は何よりも大切で…振り向いてもらうために、浮気してた…」
先輩が自分の顔を隠すように、手で覆う。
あたしはただ何も言えなくて、泣きそうになるのを堪えた。
「ごめん…かすみちゃん…」