私は先輩の浮気相手。





先輩はすっとあたしを抱き寄せた。


「泣き虫さんなんだから」


「...いつも泣かせているのは先輩です」


「そうだね。

でも俺は幸せだよ。


そんな泣き虫なところも、全部」



「ずるいですよ...いつも」


「ずるいのはかすみちゃんだってそうだよ?

そんな可愛い顔。

他には見せないでね?


俺、本当は同い年がよかったよ。

それだったら、ずっと傍にいれたのに―」



「傍にいたら、嫉妬ばっかしちゃいますよ...」





この時のあたしは、抱きしめられていて、先輩の顔が見れなかった。


まさか顔を赤らめてにやけていたなんて。

折角ポーカーフェイスを崩せても、あたしは気づけずにいた――。



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