私は先輩の浮気相手。
「いいよ。俺は裏切らないし、離れないよ」
そんな言葉。
あたし、ずっと言われたかったよ。
先輩には悪いけれど。
しゅうに―。
「とりあえず、手。繋いでいい?」
「そういうのは…黙ってしてくださいよ」
「うーん。でも俺、言わないと分からないし」
「…そうですか」
家の玄関が見える。
ドキンと胸が鳴り響く。
「大丈夫だから。かすみちゃん」
いつもと同じ優しい声。
先輩を見上げれば、少しだけ緊張していた。
「俺だって…やっぱ緊張するから」
そんな先輩に少しだけ笑ってしまう。