私は先輩の浮気相手。
玄関を開けると、お母さんは驚いていた。
「かすみ…その人は誰?」
「…冬真先輩」
「付き合ってるの……?しゅう君とじゃなかった?」
そうだ。
昔はしゅうとお母さん、よく会っていたんだ。
何て言えばいいのか分からない。
しゅうが浮気していたなんて言えば、お母さんはショックを受けるに違いない。
「俺、かすみさんが好きなんです。
恋愛とか分からない俺は、彼女と出会い変われたんです。
もし彼女がまだ彼を引きずっていたとしても、俺は幸せにしてみせるんで。
だから彼女を連れて行かないで下さい」
深々とお辞儀をする先輩に、お母さんはふらりとその場に座る。
「詳しく話してよ…、かすみ。しゅう君のことを……」