鈴木くんと彼女の不思議な関係

「私達で最後ですか?」
着替えを終えた多恵が俺達の元に戻ってきた。
「そうだ。倉庫の窓は閉めたか?」
多恵は無言で頷く。3人並んで部室を出た。

駐輪所で川村と別れ、多恵と2人で歩道を歩く。
「あれ、本当に猫ですか?」
「あいつもなぁ。。なんとかしてやれないかなぁ。お前も何か言ってやってくれよ。」
「私が?何を言えば良いんですか?」
それは、俺にも分からんよ。

「うーん。多恵は、川村の事どう思ってる?」
「彼、大人ですよね。いろいろと。頭も良いし、頼りになりますよ。すごく。」
「好きか?」
「好きですよ。クールだけど、案外優しいし。ときどき意地悪ですけど。」
「そうか。好きか。。」
「先輩だって、川村くんの事、好きでしょう?」
「そうだな。」

 好きという言葉には、いろんな意味がある。もはや高校生になった俺達が、気軽に口にする言葉ではないということを、多恵はわかっていない。
「彼は大丈夫ですよ。賢いし、大人だもの。」
そうかなぁ。俺には危なっかしく見えてしょうがないんだが。

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