鈴木くんと彼女の不思議な関係
土曜日、いよいよ通い始めた予備校の授業を終え、俺は学校へ向かった。
大道具作業は順調に進んでいる。今日は塗装だ。今週末は3月にしては暖かい。塗装した機材を廊下に干しておけば、月曜の朝までには十分乾くだろう。多恵と川村が先に集まって、作業を始めている筈だった。
学校へ着くと、部室前の廊下には新聞紙が敷かれ、その上に機材が並んで塗装を待っていた。2人の姿が見えないのは、塗料の準備か。思いながら部室のドアを開ける。
「どうだ。進んでるか?」
声をかけながら入室したが、作業場である前室に2人はいなかった。倉庫かな。
「ぅぁ、ぁっ。」
不意に、居室の奥から多恵の苦しげな声が聞こえた。
「痛い?」
「うっく。はっ。ぁ。。」
なんだ?2人で何やってんだ?尋常ではない多恵の呻き声に、心臓がドクンを音をたてた。
「大丈夫?やっぱりやめる?」
「いい。大丈夫だから、、はぁっ、、続けて。」
多恵の切羽詰まった声が聞こえる。
続けるって何を?俺は開いたままのドアの陰から、そっと中の様子を伺った。何がどうなってるんだ?.