鈴木くんと彼女の不思議な関係

 横浜市内とは言っても片田舎の高校近くには、何があるわけではない。公園でコンビニのジュースを飲むか、駅前スーパーのフードコートで、ノンブランドのソフトクリームかイチゴシェイクを飲むのが、私達の精一杯の贅沢だ。

「元気そうね。文化祭の公演 見たわよ。今回も神井の脚本なんでしょ?」
「はい。そうなんです。神井くん、凄いでしょう?」
「あいつは文句無しで凄いと思うよ。先に引退しなきゃならなかったのが本当に残念。」
「うふふ。。」

多恵は仲間を褒められると、自分の事を褒められた時よりも、ずっと嬉しそうに笑う。

「私も見ましたよ。先輩達の劇。もう格好良いし面白いしで、本当に素敵でした。」
「高校最後の文化祭だからね。みんな本気で遊んじゃったんだ。」
「清水先輩のロミオにみんなメロメロでしたよ。」
「そんなこと言っても何もでないわよ。」

「布施先輩も本当に上手だったし。それに鈴木先輩の衣装!あんなの、よく着てくれましたね。でも意外と可愛くて、びっくりしました。」

私達はひとしきり文化祭の話題で盛り上がる。

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