甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】

今さら遅いのか?*葵side

トヨトミとの業務提携を視野に、業績から経営陣に至るまで調べるように。
梶浦社長からの指示だ。

表面上は問題ない企業だったが、掘り下げて調べるうちに、山村専務の横領に気付いた。

娘で、常務取締役の響子に目をつけられた。

今年始め、山村専務に呼ばれて出向いた京都のホテルロビーで、俺を待っていたのは響子だった。
わざと抱きついてきた響子の移り香のせいで、俺は都から疑惑の目を向けられていた。
移り香に、俺は気付いてなかったが水族館へ行った日に、都に聞かれて思い出した。

響子のストーカーとも言える行為は、しだいにエスカレートしていった。

都の存在を絶対に知られてはならない

・・・・・

『私の心の中にあるのは宮澤さんだけ』

『宮澤 葵さん、あなたが好きです』

あの日、真っ赤になりながら、俺への思いを口にしてくれた都

毎日、都を抱きしめたい。

腕の中に閉じ込めて、危険なものから遠ざけたい。

けれど、俺も都も仕事があるわけで、そんなことは不可能だ。

やっと、お互いの想いを確かめることが出来た翌日に、俺は都の手を放したんだ。



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