腹黒王子に秘密を握られました
 

「最近お前たち仲良しだなー。金子に怒られるぞ」

そんな私たちの様子を見た課長が、からかって声をかけてくる。

「仲良しなんて、柴崎くんがふざけてるだけですよ」

苦笑いしながら、柴崎くんから距離を取る。
そんな私に柴崎くんが頬を膨らませた。

「友野さん、金子さんと別れたから平気ですよねー?」

そんな無神経なことをいわれて、額に青筋が浮く。

「え、友野さんと金子、別れたの!?」

驚いて声をあげる課長に、気まずくて背を向けた。
すると、ちょうど金子がこちらに歩いてきた。

「あ……」

なんて悪いタイミングだ。こんな話をしてるところに金子がくるなんて。

「お、金子! お前、友野さんと別れたのか?」

興味津々で聞いてくる課長に、金子は小さく笑いながらなんでもないことのように頷く。

「はい、残念ですけど」

「そっかぁ。みんなお前らお似合いだって言ってたんだけどなぁ」


腕をくんでそう呻る課長に、綺麗な笑みをうかべたままで会釈をして歩いて行く金子。

その間、私のことを一度も見なかった。

完全に無視された。
そのことが悲しくて、うつむいて唇をかんだ。


 



< 174 / 255 >

この作品をシェア

pagetop