運命の出会いって信じますか?
この様子が英輔に見えなくて良かった。

「結構仕事が忙しいのよ。増本君もかなり優秀だし、やっぱり若い子達の事務はフォローしてあげなきゃいかない立場になって来たし。」

そう、私も30歳。

事務の中ではかなりの中堅クラスになる。

真美のように結婚して家庭があれば会社側も遠慮するようだが、私みたいな独身者には仕事がどんどん回ってくる。

「ちゃんと増本に聞いている。増本は華に助けられてばかりいるって言っていたぞ。」

「英輔…。」

どうやら私の事は全部タイに居る英輔に筒抜けだったんだと、今更ながらにそう思う。

「こっちに来て、嫌になるくらい華の事を考えたよ。なんで今俺のそばには華が居ないんだろうって。いつも当たり前に思っていた事が、こんなに大事な事だったって気が付いたんだ。」

そろそろ私も話したい。

「あのね、真美に英輔に誤解を与えていないか確認された。」

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